栃木の名峰・中倉山へ『孤高のブナ』に会いに行く

HIKING with CAMERA
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2022/5/4 好天が続くGWの真っ只中、栃木県日光市にある中倉山へ行ってきました。
 

 

中倉山基本情報
栃木県日光市足尾町にあり標高は1530m。山頂から沢入山に続く開放的な稜線が素晴らしく、絶景の稜線歩きを楽しめるため地元ハイカーに人気の山。
ただ、その開けた稜線は足尾銅山の煙害などにより木々が消失され生まれたという歴史的な背景もある。
稜線上には過酷な煙害から生き抜いたとされる1本のブナの木があり、その勇ましい立ち姿から【孤高のブナ】と呼ばれ中倉山のシンボルとなっている。
皮肉にも人の手により自然が壊され、特異な景観が絶景となってしまっている山ですが、現在ではさまざまな団体による植樹活動が行われており森も少しづつ回復しつつあるようです。
実は中倉山は今回で2度目。1度目は昨年2021年の1月。孤高のブナに会いに行くも、山頂付近に吹き荒れる爆風でまともに歩けずブナ手前で撤退…。

目的地がすぐ先に見える状態での撤退は悔しかったですが、それでも標高約1500mとは到底思えないこの山の稜線の美しさに感動し、必ず再訪しようと心に決めていた山でもありました。

銅親水公園に車を停める、、、はずが…

中倉山登山される方の駐車場は銅親水(あかがねしんすい)公園駐車場(無料)になります。

この公園は渡良瀬源流砂防ダム下に作られた公園で、春には桜の名所になっていたり園内には足尾環境学習センターなどもあり、ハイカー以外でもここを目的に来られる方も多いようで………

朝8時30分で駐車場パンパン…。服装での判断ですがハイカーと観光の方、半分半分といった印象でした。

この日は”GWど真ん中”ということもありますが、前回訪れた時は(平日でしたが)この駐車場に私の車たった1台しかなかったのでこの状態は完全に予想外。

やむを得ず駐車場からズラーっと伸びる路上駐車組の一員に。(ごめんなさい。。。)

今回の山行を誘ってくれた相棒のよーへい君もここまで混むと思っていなかったようで、二人して中倉山人気に驚きながらいそいそと準備をしました。

中倉山までのルート詳細

中倉山のハイキングコースは銅親水公園から仁田元川沿いを歩くピストンが一般的。

2021/1/14 爆風撤退した時のGPSログ

バリエーションルートとして、真ん中の松木川沿いを歩き「足尾のジャンダルム」と呼ばれる急峻な岩場を登るコースもクライマーの方に人気のようですがもちろん私たちはスタンダードコース。

ただ今回は相棒よーへいと話し合い、中倉山の先の沢入山(そうりやま/1704m)まで行こうと決めており、全行程で7時間くらいのコースタイム設定となっていました。

登山口までの長ーい林道歩き…が、トラブル発生!!

朝8時40分、準備を終え中倉山登山口へ向け出発。

銅親水公園からすぐに一般車両通行止めのゲートが出てきます。

ぱっと見で登山者も侵入禁止なのでは?と思ってしまいそうなゲートですが、あくまでも一般車両に対してなのでバーを潜って進んでいきます。

この日は休日ということもあり車両が通ることはほぼありませんでしたが、平日などは工事車両の大型トラックなどガンガン通る道ですので、くれぐれも通行の妨げにならないように注意が必要です。

登山口までは50分のはずが…

駐車場から登山口までコースタイム50分の長いダートを歩くのもこのコースの特徴。

私もよーへい君も中倉山へは過去に1度登っていたので、登山口までの林道歩きが長いことは知っていました。

 

比較的平坦ではありますが緩やかに登るダート道をぐいぐい進みます。

長く退屈な林道歩きとはいえ、雲ひとつない好天に加えゴツゴツの岩肌が露出した山並みを見ながら歩くので退屈しません。

 

綺麗に咲いていた八重桜や渓流のプールなどの写真を撮りながら進んでいましたが、約40分ほど歩いたところで、私たちは異変に気がつきます。

 

 

渓谷の素晴らしい景色に見惚れながら歩いていると………

 

 

なんと道が土砂崩れにより寸断。先に進むことが出来ず呆気に取られる私とよーへい君。

しかし何かがおかしい…、よーーーく考えると前回こんな道は通った記憶がない!!

すかさずGPS登山アプリ『YAMAP』を起動し現在地を確認したところ、、、

松木川沿いを歩いてる!?

…なんと、思い切り道を間違えていました。。。

 

 

本来は仁田元川沿いを歩き常に右手側に中倉山があるはずが、このルートでは左手側に中倉山があります。つまり、バリエーションルートである「足尾のジャンダルム」へ向かう林道を歩いていたのです。

奥の岩場がジャンダルム。「かっこいい岩だなー」なんてのんきに写真を撮っていました笑

 

この岩場が見えた瞬間に気が付くべきでした。。。

思い切りルート間違えた2人

ショックを隠せない我々はどこの分岐で間違えたかをYAMAPで確認。そもそも分岐なんてあったかなぁ?なんてログを辿るとかなり序盤で間違えていました。

スタートからここまで60分歩いており、分岐ポイントまで戻るとなるとさらに30分歩くことに。

そもそもの予定コースタイムが7時間のところで1時間30分のロスは、体力や山行時間的にも大きく響くため「このまま帰ろうか」という考えや「いっそジャンダルム登っちゃおうか」なんていう危険極まりない思考も浮かんできます。

こういったイレギュラーが発生した時に事故は起きやすいのかもしれませんね。

とりあえず冷静になって一旦分岐まで戻ります。

ほぼ「ほりだしにもどる」状態

分岐に戻る道中、冷静に考えると前に来た時にはなかった景色がたくさんありました。

登っている時「こんなのあったっけ?」と話していた《みちくさ》

 

「こんなのあったっけ?」と思いながら用を足したトイレ笑

 

今回は舗装された林道だったので幸いでしたが、これが山深い樹林帯だったらと思うとゾッとします。思い込みの怖さを肌で感じました。

猿の群れに遭遇。まるで私たちを笑っているかのようでした。

 

とはいえ迫力のジャンダルムを見ることができた

こんなところで間違えたのか…

予定通り約30分で”問題の分岐ポイント”に戻ってきました。駐車場も見え、ほぼ「ふりだしにもどる」状態です。

分岐を進行方向で見た画像

本来は左に進み橋を渡るのですが、我々は直進していました。。。2人とも”分岐”を通った記憶がないことから、無意識で歩くと直進しやすい道なのかなと思います。

 

この道はあくまでも登山道ではなく私有地を通らせていただいている為、あたりまえですがルート案内の看板などありません。

下調べを入念に行い、山行中はこまめに地図やGPS登山アプリを確認ましょう。(と自分に言い聞かせました笑)

改めて登山口に向けリスタート

分岐に戻った我々は協議の結果「とりあえず中倉山に向かおう。」となりました。

長すぎたウォーミングアップで足にはすでに疲労感がありましたが、ようかんで糖分を摂りつつのんびり進んでいきます。

 

大きなロスをしてしまい精神的にもゲンナリ感はありましたが、今回は話し相手に相棒よーへい君もいますし、何より天気の良い1日で木漏れ日がとても気持ちよく、癒されながら歩くことができました。

すったもんだを経てようやく登山口到着

朝8時40分のスタートから約2時間、よーやく中倉山登山口に到着。

長かったダートから右に折れ、山の斜面に入って行くような形で登山開始。

 

と、安心したのも束の間、この中倉山登山道の特徴は下の等高線を見ていただくとおわかりのように”急登”からはじまります。

 

登山口到着時点でなかなかの疲労感だった足に更に追い討ちをかけます。

画像では斜度がお伝えしづらいのですが、足裏全体を地面に置くことができないので常につま先で登っていくことになり、2人ともふくらはぎがパンパンで破裂寸前です笑

 

九十九折りの道をひたすら登ると徐々に尾根が見えてきます。

 

登山口から約45分で尾根に合流。映る景色が変わり風も吹き抜け気分も一新します。

 

小休止ののち今度は尾根を登っていきます。まだまだ周囲は木々に囲まれて景色は開けません。へとへとですが、よーへい君と山頂付近で食べるカップラーメンを楽しみに踏ん張ります。

 

尾根を進む道も地味に急登が続きますが頑張って進んでいくと小さな峰のピークから男体山がちらり。山を歩いているとこんなちょっとした景色の変化でも気分が変わります。

 

尾根を進んで行くと3方に分かれる分岐にさしかかります。昨年1月に登った際は真ん中の道でしたが、相棒よーへい君が「右の道が景色が良い」と教えてくれたので右を選択。

 

道幅も狭く落ち葉もあるので油断すると滑り落ちそうな道を進んで行くと…

 

バーーーン!と一気に疲れも吹っ飛ぶ場所に到着。

 

なんとも言えないポーズになってしまいましたが、表情がこの場所の良さを物語っています。気持ち良すぎる景観に天気も最高、よーへい君の言う通り右で大正解でした。

いよいよ稜線、孤高のブナへ

ここまで来るとさっきまでの疲れはどこへやら、もうすぐそこにある山頂に向けて足取りも軽くなります。

 

12時20分 中倉山登頂

スタートから約3時間40分(道間違いの1時間30分を引くと2時間10分w)

 

山頂からは見事に開けた綺麗な稜線が続いていますが、山頂からは「孤高のブナ」は見えません。

 

中央に見えるのが「孤高のブナ」

山頂から稜線を少し進んだところで孤高のブナはようやく姿を表します。

前回訪れた際は、ここまで来たところで右から吹き抜ける爆風により撤退を余儀なくされてしまいましたが、今日はご覧の通りの快晴。風も緩やかで最高の天気。

ようやく会えた「孤高のブナ」

こうして見ると本当に稜線上にぽつんと立っており、どことなく寂しげな印象もありますが、煙害を生き抜いたという力強さも感じます。

 

5月初旬で葉の具合はこの程度。これから下旬にかけてどんどんと茂ってくるのではないかと思います。

しかし絵になる立ち姿、見惚れてしまいます。

 

たっぷり撮影させていただき、パワーをもらえた気がしました。

アカヤシオの下でランチタイム

よーへい君としばし撮影を楽しんだ後はお楽しみのランチタイム。

ブナの木周辺は緩やかな丘のようになっていてランチスポットがたくさんあります。この日もたくさんの方が思い思いの場所に座ってのんびりまったりしていました。

「どのあたりで食べようか」などと話しながら場所を探していると、ちょうどアカヤシオが綺麗に咲いているところの方々が休憩を終え歩いて行かれたので、その跡地を使わせていただくことに。

見頃はもうあと少し、というところでしょうか

 

地べたに座ってのーんびりできます

 

最高のロケーションにパクチー臭

 

中倉山から沢入山まで往復2時間

のんびりとランチ休憩を終えた我々。当初の予定だった沢入山(そうりやま)を行くか行かぬかの協議に移ります。

右奥のピークが沢入山(1704m)※真ん中が皇海山(たぶん)

時間は13時、中倉山から沢入山は往復2時間、おおよそ概算で駐車場に着くのが17時。

時間的には行けなくもないが、なんとなく2人とも「また今度」となりました。なんといってもこの中倉山、我々の地元から約90分ほどで来られるのでいつでも来られる感が強く、真夏になる前にもう一度来よう、という形で協議の幕は閉じました。

でも、やっぱ少しだけ稜線歩きたい………

沢入山を断念しこのまま帰ろうとしたものの、目の前には魅力的な稜線に青すぎる空。

………ちょっとだけ行こっか。

ということで沢入山までは行かないまでも稜線の触り部分だけ味わうことに。笑

こんな景色を見せられてしまったら我慢できない

 

孤高のブナから先の稜線は地質が変化する

 

ブナまでは土だった稜線が一転してゴツゴツの岩場に

 

張り出したポイントがあったので撮影タイム

 

標高1500mとは思えない景色

 

岩の道へと変化した稜線を歩いていると、コースからすこし張り出したポイントがあったので写真を撮ってきゃっきゃきゃっきゃと遊びました。

折り返し下山開始

稜線をもう少し先に進むと沢入山の手前に「波平ピーク」と呼ばれるポイントがあり、グーグルマップにも記載されているほどの有名ポイントなので以前からとても気になっていました。

いっそそこまでは行こうかとも思ったのですが、ここはあえて次回のお楽しみにしようと決め下山開始。故にこちらの記事でも「波平ピーク」の詳細は今回あえて割愛したいと思います笑

 

沢入山側から望む「孤高のブナ」

 

再度、中倉山のピークを通ります

 

遮るものがない稜線上から男体山がよく見えました

 

名残惜しすぎますが「楽しみを残した」と言い聞かせます

 

あとは来た道をひたすら下るだけ

 

あっという間に登山口まで下山

 

自転車を登山口まで運び、帰りに乗っていた方もいました

 

とても綺麗な渡良瀬川

 

我慢できずIN めっちゃ冷たかったです

 

ゲートまで戻ってきました

下山後は銅親水公園でコーラ

下山中の我々の合言葉は「コーラ」

この日はとても暑く最高気温も25度近く上がった夏日でしたので、さぞかしコーラが美味しかろう、と下山後のコーラを楽しみに下ってきました。

 

銅親水公園には上流3本の川が合流するところに建てられた砂防堰堤があり、迫力ある水音を慣らしています。

 

これが渡良瀬川の水となり、私の住む町を流れていると思うと自然の雄大さを感じます。

足尾環境学習センター 自販機ラインナップ

自然の雄大さも良いのですが、はっきり言って今は我が体内にコーラの川を流したい。

とにもかくにも今すぐコーラを!という事で銅親水公園内にある足尾学習センターへ。

見えてきました至高のオアシス。赤をベースにした無機質なそのBOXはコーラという名の清流をキンっキンに冷やしてくれる今世紀最大の発明品。

 

100円を2枚握りしめて、いざ!!

 

 

 

うそーん…

 

 

 

中倉山登山 まとめ

ということで最初から最後までいろいろと事件のあった中倉山登山となりました。

改めて振り返ってみても、中倉山、お世辞抜きでものすごくオススメです。

まだまだ全国区の山ではありませんが、もっともっと人気が出てきても良いのではないか?と心から思います。

思い切り開けた稜線歩きを比較的手軽に味わえたり、歴史的背景のあるフォトジェニックなシンボルツリーがあったりと見どころ満載。

個人的に波平ピークと沢入山が心残りでありますが、近いうちリベンジし、再度こちらでレポートしたいと思いますのでその際はよろしくお願いいたします。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

 

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